世界最速のインディアン

クソのような映画について語ればいくらでもそのクソさ加減について饒舌に語れる私ですが、本当にいい映画については口が重くなることでも知られています。これなんかは非常に語りづらいですね。語りづらいというかこうやって文章で書くより、この映画のよさがわかる人間と酒でも酌み交わしながら語り合いたいものです。この映画に限ったことではないですが。
実話が元になっている話である以上、いかなる困難が主人公バート・マンローに降りかかろうが結末はわかっているので安心して見れますが、作中に起こる細かいトラブルはちょっとしつこいっつーかもうちょっと落ち着けよ、落ち着いた映画を作れよ(笑)と言いたくすらなりますがこれがこの映画の味でもあると思いますのでまあいいです。終わってしまえばどうということのないトラブルばかりだし。心臓病もマシントラブルも金銭難も全くなんということのない問題であった。
一見、「夢を追い続ける」というのがこの映画のテーマであり、それは間違っていないと思いますが「夢を追い続ける」以上に「苦を苦としない。苦を当たり前のこととして受け入れるというか受け流す」という主人公バート・マンローの姿勢が重要な気がします。こうありたいと思います。
泣き所は数多いですが個人的に一番好きな場面はロッカーズの連中が見送りに来るところ。モーターサイクルクラブの仲間や家族も本気で優勝するとは信じていないというのにロッカーズ連中は「絶対優勝するさ」と言い切る。ああ、なんかわかって当然みたいな書き方をしてるが多分わからないな。ロッカーズとはバート・マンローと浜辺で勝負した革ジャン連中のこと。あれをロッカーズという。ロッカーズは主に単気筒のバイクに乗り、モッズと中が悪い。モッズはお洒落な格好でスクーターに乗る人。バイク乗りのハートのよさを表現したいい場面だと思います。
最後、夢を叶えたバート・マンローが意外なほどあっさりしているのも重要なポイントだと思います。夢は叶えてしまえば終わり。すぐに次の目標へと進むのが男というものです。
「夢」「男の生き方」などこの映画から学ぶことは数多いと思います。うまく言えませんがこの映画からは逆説的ですが極端な話生きるのには夢すらもいらない、出会いや色々な出来事を受け入れて生きていくことが最高の人生を送るのに一番重要なことだと感じました。ほんとうまく言えませんが。なかなか実際にはできることではないですが自分も少しは見習って生きていこうと思います。
爆笑度     ☆☆☆
バイオレンス度 ☆☆
発狂度     ☆☆☆
怪奇度     ☆
男泣き度    ☆☆☆☆☆