マカロニウエスタン 800発の銃弾

簡潔に身も蓋もなく言うとバカが暴れまくって世間に迷惑をかけまくる映画だが、こんなにも涙が止まらないのはなぜだ。あなたにボンクラ魂が少しでもあれば、必ず反応する映画。これは劇場で見ればよかったな。見たかったんだけどなんかその時は公開劇場が遠かったりして微妙に時間がなくて行けなかったんだよな。無理しても行けばよかった。
前半一時間をたっぷり使って主人公を始めとするボンクラ共の最悪ぶりが描かれる。バート・シンプソンばりの意味不明なまでの暴れようを誇るクソガキ(主人公の孫)でさえ、年期の入った本物の筋金入りのボンクラの前では圧倒されて借りてきた猫のようにおとなしくなる。ほとんど、「ジャッカス」のメンツがそのままじじいになったような感じだ。下半身をやたら露出したりすぐ裸になったりはしないが。
後半(に限らないが)は最近はタイ映画やジャッキー・チェンの映画などを除いてはあまり見られなくなった本物の体当たりのスタントによるド迫力のアクション。過度にスーサイダルでデスウィッシュな印象はあまり受けないが、パッと見の印象以上に危険なことをやっている気がする。冒頭の馬車から落ちるシーンなどは「七人のマッハ!!!!!!!」のトラック落ちのシーンに匹敵する危険度なのでは?
まあそんな細かいことはこの映画にとってこのさいどうでもいいんだが、いつものことだが本当にいいと思った映画はどうも語りづらい。だめな映画にはどこがどうだめなのか何がどう間違っているのかいくらでも語ってやれるんだが。とりあえず見ろ・そして泣けというのが率直なおれの感想。あなたがこれを見て感じたことがそのまま私の伝えたいことです。見てなおかつ意味がわからないという人は、知りません(笑)邦画の恋愛映画でも見て感動してください(笑笑)
とはいえ現実にリアルタイムで60年代〜70年代の空気とか男の価値観(ボンクライズムと人は言う)を知らないと多少つらいものがあるのかもしれないですね。自分はギリギリでかすっているというか、子供の頃再放送やテレビ映画などを通じてそういう価値観が刷り込まれてきたので今の世の中はなんとも生きにくいです。ああ、今の若い人にわかりやすく言うとですね、漫画の「銀魂」。あれはかなり近いものがあると思います。自分で言っててちょっと違うような気もしますが。あれがヒットしてアニメ化までなるということはまだまだ世の中ボンクラ魂は失われていないような気がしますがあれって男より女の子に人気があるみたいなんですよね。今やボンクライズムを理解するのは男子より女子なんでしょうか。
単純に娯楽映画として見ても相当面白いと思いますが、前半のダメ人間描写が合わないと若干つらいかもしれません。最近の男泣き映画の傑作ではここで扱った中では「香港国際警察」がありますが、あれよりは男泣き映画として難解というか奥が深いというか、決してジャッキーの男泣きイズムが底が浅いというわけではないですがあれがジャッキーの男イズムに魂をゆさぶられて涙が吹き出す感じなら、こっちはボンクラ共の男イズムが皮膚の表面から魂に侵食してきて心の奥底から何かを引きずり出す感じでしょうか。言ってて意味がわかりませんが。わかります?
爆笑度     ☆☆☆☆
バイオレンス度 ☆☆☆☆
発狂度     ☆☆☆☆
怪奇度     ☆☆☆
男泣き度    ☆☆☆☆☆
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