トム・ヤム・クン!


現時点で今年見た中では本年度最高傑作。というか生涯でもベスト5に入るかもしれない。「ドラゴン怒りの鉄拳」「ポリス・ストーリー」を越えたか?もう最初から最後まで笑いっぱなしでした。笑って泣いて熱くなる!いい映画は嫌なことを全部忘れさせてくれるというのを実感させてくれた作品です。
序盤は象という生き物の大きさと強さに圧倒されますが、それ以降は人間は鍛えればここまで強くなれるという事実に驚愕させられます。主演のトニー・ジャーがすばらしいのは言うまでもないですが、ほとんど準主役級の扱いだった(強さ的に)ネイサン・ジョーンズもすばらしかったですね。恐らく本気で当ててはいないとはいえ、トニー・ジャーの攻撃を何度か明らかにモロにくらいながらもあれだけの動きができるのは現役プロレスラーならではでしょう。ネイサン・ジョーンズの場合現役と言い切っていいかどうか微妙ですが。彼は体もバカでかいし男前なので非常に絵になりますし映像的な説得力もあります。このキャスティングは絶妙だと思います。最後の方に出てきたプロレス軍団はなんかどっかで見たような気がする人もまじっていたんですが誰か名前の知られている人でしょうか?
前半は思ったほどアクションの連続というほどではないですが、祭りの中を疾走する象や(地面に転がった人の上を象が走って通過するという見た目以上に危険極まりないスタントもあり)モーターボートがヘリコプターに突き刺さって大爆発などの発狂映像は印象に残ります。アクションとアクション以外の場面の配分が非常に絶妙だと思います。アクションのない場面が続いて退屈になる寸前にアクションがやってきて「待ってました!」って気になる。最初にトニー・ジャーが暴力行為に走る場面での、いきなり画面外から飛んできて人にひざげりをくらわすところとか強烈です。あと蛍光灯でボコボコ殴られるトニー・ジャーとか。Xゲーム軍団の中のチャリ野郎の存在がわからん。「ウリャアーッ!」と叫びながら必死にチャリこいで突進してくるの。あれギャグか?
その分中盤以降はひたすらアクション。戦いに次ぐ戦い。螺旋階段を5フロア分くらい登りながら人を殴ったり蹴ったり叩き落としたりする場面を、1カットで撮影するとか信じられない力技だ。唖然とするしかない。その場面に出てきて殴られたり蹴られたり叩き落とされたりする連中は、どうもタイ製のWWETシャツを着ている人間が多かったような気がするんだが遠目なので詳細は確認できない。ネイサン・ジョーンズ以外ではカポエラの人が本当に「鉄拳」とか「餓狼伝説」みたいな動きをするのがすごかったです。
トニー・ジャーネイサン・ジョーンズばかりが印象に残りがちだがシドニーのタイ人警官なんかもなかなかいいキャラです。一見無能なバカキャラかと思わせておいて実はものすごく有能。むしろスーパー警官。もしもこの映画にトニー・ジャーが存在しなければ彼が主役でがんばって事件を解決していたことでしょう。
とにかく面白かったという感想しか生まれない映画で、文章ではその面白さを伝えるのは不可能に近くひたすら絶賛するくらいしかできることはないのでこれはもう実際に見ていただくしかないです。お前ら明日見に行け!全員だ!
トニー・ジャーブルース・リー以降のアクション俳優の中では一番ブルース・リーに近い気がします。演技をしているのかどうかすら微妙なところとか特に。
ところで「トム・ヤム・クン!」というタイトルは日本の配給会社が勝手につけたタイトルかと思っていたのですが原題も「トムヤムクン」だったのが驚きです。これは日本で忍者映画を作って「寿司!」というタイトルをつけるようなものでしょうか。あと問題はトニー・ジャーの役名が最後まで覚えられなかった。というかジョニーとかジミーとかなんとなくそのへんを覚えているだけで誰一人役名を覚えていない。登場人物の名前を覚える余裕もないほど面白かったということで。あと往年の松田優作もどき?がドリンクを飲む場面が非常に気になった。あれはいったい何の意味があるのか?
爆笑度     ☆☆☆☆☆
バイオレンス度 ☆☆☆☆☆
発狂度     ☆☆☆☆☆
怪奇度     ☆☆☆☆
男泣き度    ☆☆☆☆
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