フォレスト・オブ・ザ・デッド

フォレスト・オブ・ザ・デッド [DVD]
ジャケットの「木、切るな」というキャッチコピーからレイクオブザデッドレベルの最悪作品を期待して見たら、ディスク再生開始数分で非常にまともな良質作品の匂いが感じられたので逆にがっかりした。勝手なものだ。こんなしっかりした映画に「木、切るな」などというキャッチコピーをつけて売るほうも売るほうだが。いやそれはおれのような最悪狙いのくされユーザーがいるせいか。
これは人間の罪・赦し・自己犠牲の精神などのテーマに真っ向から向き合った骨太のメッセージ・ムービーである。一見、環境破壊がテーマのように見えるが、伐採業者が悪で企業が悪かというとそんな単純なものではない、全ては人間のなせる業であり人間そのものの業の深さというものを「森林伐採エコロジーホラー・木、切るな」を通して表現している映画だと思う。事件の発端は環境保護団体が伐採業者への嫌がらせとして木に釘を打ち込んだことから始まるのだが(木に釘を打つと、チェーンソーの刃が跳ね返って作業者が怪我をするという非常に危険な嫌がらせらしい)ラスト近くで環境保護団体の生き残りの女性が、ゾンビにかまれて死亡寸前の伐採業者のリーダーに「あなたに言わなきゃいけないことがあるの!釘を打ったのは私なのよ!」と告白するシーンは本当に泣ける。そのシーンでの伐採業者のリーダーの、全てを赦すかのような笑顔が。
映画として非常にまともなぶん、これ系のゾンビ映画の魅力であるいかれた展開や非常識な人体破壊シーンはほとんど見られないので、そういうの期待すると少しがっかりするが(時間軸の流れとか微妙におかしい部分はあるけど)映像的にも出来がいいし、脇役の一人一人に至るまで人物描写がしっかりしている。メインキャラ四人でサンドイッチ食うシーンでのクズ野郎の食い方に注目。
残念なのは後半に出てくる他の伐採業者グループが曲者揃いのように見えるのに、何もしないで気付いたら全滅しているところとか、やっぱりキチガイ度やアクション風味が希薄なのは寂しい。しかしこういう映画しか見ないようなくされユーザーに対して、真っ向から重厚なテーマを語ってしっかり納得させてくれる作りというのは貴重な存在の映画だと思う。ていうか、これってもしかしてカナダ映画?確かめてないが雰囲気がカナダっぽいんだけど。
爆笑度     ☆☆
バイオレンス度 ☆☆☆
発狂度     ☆☆
怪奇度     ☆☆☆
男泣き度    ☆☆☆☆☆
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