ゴーストライダー

ゴーストライダーは日本のものも含む全部のヒーローの中で一番、ビジュアル的にかっこいいと思う。ある意味反則というか、ヒーローの枠を逸脱したビジュアルでありながら決して悪役には見えないという神業的な風貌だ。日本で知られるようになったのは比較的近年で、今回の映画版まで存在を知らなかったという人も少なくないと思われるが、その誕生は1970年代と古い。じいさん揃いのアメコミヒーローの中では比較的若手だけど。欧米では当初からかなりの人気キャラクターだったので、実は「マッドマックス」なんかもこれの影響を受けて作られたのかもしれない。ということはマッドマックスの影響を受けて描かれた「北斗の拳」もゴーストライダーなしでは生まれなかったのかも。実は日本の漫画アニメにも影ながら多大な影響を与えている可能性のある由緒あるキャラクター。
これはビジュアル的には最高の映画。ゴーストライダーは立っているとなんか頭と体のバランスが悪い感じで人の体にガイコツが乗っているだけに見えて若干違和感があるが、バイクにまたがるとそのカッコよさは最高潮と化す。特に先代ゴーストライダーと並んで砂漠を疾走するシーンはウエスタン調の音楽(カバー?)と相まってまじで鳥肌が立つほどのカッコよさ。今まで見た映画の中で一番カッコいい場面の一つと言い切っていいかも。実写映像化は不可能と思われていたゴーストライダーをここまで映像化することが可能になっただけでも、特撮技術の進歩の有難みを感じなくてはいけない。
映画としては前半はニコラス・ケイジの奇妙な行動と困った顔を見ているだけで間がもつが、後半ブラックハート一派との戦いがメインになってからはあまり面白くないというか、ゴーストライダーブラックハート一派もあまり強くないのが難点。ゴーストライダーの真骨頂は主に市街地を破壊することに発揮される。バイクで走るだけで市街地はメチャクチャ。史上最も迷惑なヒーロー。ブラックハートなんか最後パワーアップする前のほうが強かったんじゃないの?クライマックスの戦いがショボいというのはまあアメコミものの定番みたいなもんだからしょうがないか。ヒーローなのに鈍器で殴ったり首を絞めて殺そうとしたりするのが多いから、これはそこまでしなかっただけでもいいほうかも。先代ゴーストライダーも後輩と一緒に砂漠を走って「このために最後の力を残しておいた」とか言って消えちゃうし。走りたかっただけか?あとメフィストって権威ねえなあと。「力を返せ」って言われて「断る」と言って断れちゃうのか。先代なんか走って逃げてそれっきりだし。
前半〜中盤がものすごくよかっただけに終盤の展開には物足りなさが残るが、それでもこの作品はすばらしいと思う。余計なことは語っていないストーリーもいいし、やっぱりビジュアル的な魅力は強烈だ。オジーやカレン・カーペンターを使った音楽もいい。出演者も自らゴーストライダーの大ファンだというニコラス・ケイジを始め、原作への思い入れを感じさせるものすごくわかってるんだなあという演技をしている。ぶっきーも少しは見習えよっつーか(笑)今風のVFX満載のビジュアル系映画でありながら、どことなく70年代風の雰囲気が漂っているし、ウエスタンの要素も入っている。要はボンクラ泣かせの要素満載の男向けヒーロー映画だということだ。これならカップルでなくても堂々と劇場に入っていける。シネコンを男で埋め尽くせ!
前述した通りゴーストライダーは70年代に誕生している。その誕生には当時のバイカー映画の影響があるのではないかと思われるが、その点でこれにピーター・フォンダが出ているというのはすごく重要なことだ。いや自分一瞬ランス・ヘンリクセンかと思ったが。例えれば北斗の拳の実写版にジャッキー・チェンが出るくらい重要。
おれのように全身に負のオーラをまとって歩く男一人の男には、見た目は革ジャンにドクロで負のオーラの代表格のようだが内面は「この力を弱いもののために使う」と言い切るストレートな正義のヒーローであるゴーストライダーは見習うべき存在だ。見た目とか雰囲気が負でも心まで負けてはいけない。そんな意味でも日々心が折れそうな人生という名の戦いを送っているボンクラどもは全員見るべき映画。男一人で見にいけ!シネコンを男で埋め尽くせ!
以上!わかったか!ワカッタラデテケ!
爆笑度 ☆☆☆☆
バイオレンス度 ☆☆☆☆
発狂度 ☆☆☆☆
怪奇度 ☆☆☆☆
男泣き度 ☆☆☆☆☆